朝礼の話㉚「ニーチェとケセラセラ」
2025.01.20

山茶花(サザンカ) 花言葉は「困難に打ち勝つ」

 

 

 

 

 

 

 


 

◇ニーチェ◇

今月のテーマは「希望/生きる力」なんですが、皆さんはニーチェという人を知っていますか。多くの人々に影響を与えた哲学者で、とても難解なので、私もちゃんと理解しているわけではないのですが、ごく大雑把に言うと、この人生をより良く生きるにはどうしたらよいのかを考え続けた人です。

 

◇永遠回帰◇

そのキーワードの1つが「永遠回帰」です。これは、今と同じ人生が何度生まれ変わっても永遠に繰り返されるという考え方です。本当にそうだとしたら、どうですか? 私たちはそれぞれに辛い経験を持っていますし、いわゆる「たられば」、もしこうだったらよかったのに、あのときこうすればよかったという後悔とか、いろいろありますよね。それもそっくりそのまま繰り返されるのが永遠回帰です。

 

◇運命愛◇

ニーチェは「運命愛」という言葉も使っていますが、過酷な運命も含めて自分をまるごと受け入れ、愛して初めて自分の人生を生きることができると言います。たとえ何度でもこの人生を生きるという覚悟を持てということです。確かに人間は、後悔や愚痴、不平不満を抱えて、人のせいにしたり社会のせいにしたりしがちなんですが、そうすると楽だったり小さな快感が得られたりすると同時に、主体的に生きる力が奪われてしまう気がします。

 

◇標茶町の小学校とミセスグリーンアップル◇

それに関連して私は今年のお正月番組を見ていて驚いたことがあります。北海道の標茶(しべちゃ)町に全校児童4人という小学校があって、今年の3月に閉校が決まっています。その4人が全員、ミセスグリーンアップルというバンドの曲が大好きで、小6の男の子は、柔道の試合前には必ず「ケセラセラ」という曲を聞いて頑張るそうです。クリスマス会にその曲の全校合唱をする、そこに歌手本人たちがサプライズ登場して、一緒に合唱するのを感動しながら見ていました。

 

◇ケセラセラとニーチェの繋がり◇

その曲の内容が、なんかニーチェの考え方に似ているんですね。辛い人生だけでそれを乗り越えろ的な歌詞とか、こういう歌詞もあります。「私を愛せるのは私だけ。生まれ変わるなら?また私だね。」「これ、永遠回帰だ!」と思ったんですね。決定的なのは、歌詞に「トァラトゥストラ」とあって、これはニーチェの一番有名な本の題名(正式には『トァラトゥストラはかく語りき』)です。物語風に書かれていて、その主人公の名前が「トァラトゥストラ」なんです。やはりニーチェを踏まえているんですね。難解なニーチェの思想をかみ砕いて歌謡曲にするなんて、スゴいなと思い、しかもニーチェと小学生が共鳴していることに驚いたわけなんです。

もう一つ驚いたのが、これは蛇足ですが、こんな曲を作る人はどんな人だろう、才能のある人だなと思って、インターネットで調べたら、ボーカルの人が作ったことが分かりました。名前が何と大森元貴(もとき)と言うんですね。私は村手元樹(もとき)と言います。「名前一緒じゃん!」と思って嬉しかったという話です。

校長 村手元樹

*2025.1.16 全校朝礼