令和5年4月10日(月)、晴天に恵まれ、全校生徒がそろって始業式を行い、今年度のスタートを切ることができました。新年度にあたって生徒の皆さんに伝えたメッセージです。お読みいただければ幸いです。
チューリップが校庭に彩りを添えています。
始業式での話
◇「運」と「適応」◇
おはようございます。皆さん、一つずつ学年が上がり、新しい年度が始まりました。新年度は、新たなクラス、新たな担任の先生、新たな教科など、いろいろと変化が多く、慣れないことも多くて大変ですが、出会いの季節でもあります。今日は出会いということについて少しお話をしたいと思います。
多くの著書で知られる出口治明さんという人が、人生の基本原理は「運」と「適応」であると言っています。「運」は「自分の力ではどうにもできない、自然の巡り合わせ」ということです。つまり偶然の出会いです。その偶然に対していかに適応して、その中でいかに自分を生かしていくかということが重要だということです。
◇朝ドラ『舞い上がれ』に見る「運」と「適応」◇
例として適当かどうか分かりませんが、昨年度後期の朝ドラ「舞い上がれ」の話をします。舞ちゃんという女の子が主人公です。小学生の時、凧揚げをしたり飛行機に乗ったりした偶然の出会いをきっかけに飛行機作りに興味を覚え、大学の航空工学科に入学します。その大学にたまたま人力飛行機のサークルがあって、入部することになります。最初は製作担当でしたが、パイロットの女性の先輩が事故に遭い、舞ちゃんがパイロットをすることになります。空を飛ぶ楽しさを味わい、旅客機のパイロットを目指し、大学を中退して航空学校に入り、その後卒業して航空会社への就職が決まります。ところがリーマンショックという世界的金融危機が起こり、就職は延期、ネジを作る父親の会社で働くことになり、そのまま会社に就職する、というように運(偶然)と適応(それに合わせて自分を変えていくこと)を繰り返すんですね。
視聴者としてはいつ旅客機のパイロットに戻るんだろうと期待して見ていたんですが、結局最後までそうならず、いろいろ紆余曲折があって最後は大学のサークルの先輩が始めた「空飛ぶ自動車」の開発に携わり、そのテストパイロットをするというところで終わったわけです。もちろんドラマなんですが、とてもリアルだと思ったんですね。それはどういう点かというと、一つは夢とか目標も偶然の出会いがあってそれに適応しながら形を変えていくという点、もう一つは形は変っても、どこかで過去と現在と未来が繋がっている点です。
◇新しい科目との出会い◇
例えば高校の授業も特に普通科は、できるだけ多くの科目に皆さんが出会うようになっています。中には得意でない分野もあります。ある意味偶然の出会いです。一見、自分にとって意味がないと思う科目も、授業を受けているうちにその面白さに気づくこともありますし、大人になってからふとした時に役立つことがあったりします。その出会いに将来どんな意味があるか、自分にはなかなか分かりません。でも偶然の出会いも何か意味があるかもしれない、将来と何かつながりがあるかもしれないと思うと、「運」が「縁」に変るんですよね。一つ一つの新しい出会いを大切にしてください。
◇新しい机との出会い◇
最後に皆さんの「新しい机との出会い」についてです。聖カピタニオ女子高等学校も創立60年が経ち、暦が一周して新たな一年目を迎えます。それを記念して以前から生徒の皆さんからも要望が多かった教室の机椅子をこのたび新調しました。最新の人間工学に基づく機能的な机と椅子です。デザインもスクールカラーの青、しかもノーブルなブルーをあしらったオシャレなデザインです。さらに以前の机と比べて縦・横ともに5センチメートルずつ広く、使いやすくなっています。以前の机は多少時間差はありますが、ほぼ40年間大切に使いました。新しい机もおそらく、そのくらい使うかもしれません。皆さんのかわいい後輩のためにも大切に使ってください。そして新しい机で勉学に励んでください。
校長 村手元樹