令和5年4月7日(金)、入学式を行いました。あいにくの雨でしたが、桜と同様、今年は校庭の花水木も例年より早く開花し、入学式の今日、こんなに咲いて入学式に彩りを添えました。また3年ぶりに3年生も参列でき、コロナ禍でなかなか歌えなかったブランクを感じさせない、すばらしい歌声で新入生を迎えてくれて、とても温かな入学式になりました。入学式で述べた私の拙い式辞を以下に掲載します。新入生に向けての私のメッセージです。
入学式式辞
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。今日から高校生活が始まります。それに当たって高校生活について少し考えてみましょう。
3年間続いたコロナ禍によるさまざまな制限もようやく緩和される状況となっています。皆さんの中学校生活も大きな影響を受けたと思います。しかし、この3年間は、私たちが忘れかけていた大切なことを再認識することも多く、力を蓄える期間でもありました。それを踏まえて新しい生活に踏み出してください。
まずこの3年間で「当たり前だと思っていたことが当たり前でないこと」を誰もが実感したのではないでしょうか。登校できること、授業や行事ができること、友達と会えること、どれもコロナ禍以前は当たり前だと思っていたことです。「当然そうなるべきだ」「そうなるはずだ」という意味の「当たり前」という言葉の反対語は、おそらく「あることが難しい」という意味の「ありがたい(有り難い)」という言葉でしょう。できて当たり前、やってもらって当たり前の反対語が、日本語では「ありがとう」という感謝の言葉になっているのはとても興味深いことです。実際、私たちはコロナ禍を通してそれ以前は当たり前に何となく行なっていた一つ一つことを「ありがたい」「幸せ」という実感を持って取り組むことができるようになったのではないでしょうか。
またコロナ禍を通して、当たり前でないことが当たり前のようにできるのは、その背景に目に見えない多くの人の支えや助けがあることにも気づかされました。これから始まる高校生活も公的機関をはじめ社会の人々のさまざまな支援があって初めて成り立ちます。何よりも保護者の方の助けがなければ高校に行くことはできません。そうした人々の存在を意識して、感謝の気持ちを持つことは、自分がひとりではないこと、応援してくれる人がたくさんいることを自覚させてくれます。そしてそのことによって心強い気持ちにもなります。
「感謝すること」はカピタニオで大切にしてきたことの一つです。カピタニオの東側の坂道を本校では「感謝坂」と呼んでいます。この名前を付けたのは、かつての卒業生です。感謝の気持ちを持つことの大切さを後輩に伝えたかったのだと思います。そんな気持ちを忘れずに高校生活を過ごしてほしいと思います。
またコロナ禍を通して、私たちはこの世の中は、人間には予想できないことが沢山あることを改めて知ると同時に、その場その場の状況において、みんなで話しあい、思い悩み工夫しながら正解のない問いに自分たちなりの答えを出していく大切さを学びました。これからの高校生活も思い通りに行かないことや思い悩むことがあるでしょう。そんな時、まず自分なりの解決策を探してください。人は成功より失敗から多くの事を学びます。でも一人だけで悩まず、時には家族や先生や友達に相談してください。自分の弱さを知り、人に助けを求める勇気を持ち、感謝しながら他者と力を合わせて生きていくこともカピタニオで学ぶ大切なことの一つです。
これからコロナ禍による規制も緩和され、いろいろな機会が増えていくと思います。その出会いを大切にしてください。立命館アジア太平洋大学の学長、出口治明さんは人生を楽しくするのは「人・本・旅」の三つであると言っています。高校生活も同じだと思います。「人」:同級生、先輩、先生、シスター、その他多くの人たちとの出会いが待っています。「本」:できるだけ沢山本を読んで、本を書いた人の考えたこと感じたことにたくさん出会ってください。「旅」:旅行のことだけではありません。さまざまな体験をすることです。体験の中で、考え、感じてはじめて身につくことが沢山あります。こうした、さまざまな出会いは結局、自分との出会いでもあります。
最後に、高校生活はチームプレイです。孤独な戦いではありません。後ろにいる3年生の先輩方は新入生の皆さんを歌で迎えるためにだけ、今日この雨の中、来てくれています。昨日もこの場所で歌の練習をして今日に臨みました。ここにいる先生たち・職員・先輩たちも皆さんの高校生活を応援しています。高校3年間が楽しく充実したものとなるよう、一緒にがんばりましょう。ようこそカピタニオへ。
校長 村手元樹