プロムナード前に気合を入れる円陣も恒例。
◇フルバージョンの体育祭◇
9月29日(金)、雲一つない秋空のもと、体育祭を行いました。2020年から2022年までの3年間、新型コロナ・ウイルス対策のため、半日に縮小しての体育祭でしたが、今年度は午前午後に亘って、コロナ禍以前は恒例だった、熱い戦いを繰り広げる学年対抗の「綱引き」や体育祭の最後を飾る「プロムナード」も4年ぶりに行うことができました。
久々に見るプロムナードはとても感動的でした。三年生の皆さん、暑い中の練習、そして本番の見事なパフォーマンス、ありがとうございました。練習風景を見ただけで、胸が熱くなりました。先輩たちのパフォーマンスを一度も見ることがなかったのにも関わらず、見事に復活させてくださったこと、本当に感謝しています。
◇プロムナードの魅力◇
本校のプロムナードは、幾何学模様を描きながらマーチに合わせて縦横無尽にグラウンドを行進します。時間にして約15分。ただ歩くだけではなく、実際には技術的にも難しくパフォーマンス自体すばらしいのです。観客が俯瞰するとその描かれる模様に感動するのですが、歩いている本人たちにはその全貌は見えません。他者ファーストのパフォーマンスでもあるのです。オランダでは道を通る人を楽しませるために、窓辺に花を飾っている家も多いようです。でも家にいる人に花はあまり見えません。プロムナードはそんなことを彷彿とさせます。
8月に本校で講演をしてくださった西神父様は、カトリック学校の学びの目標の一つは、物事の表面だけでなく、その「背景」を見る心を養うことだとおっしゃっていました。おそらく目に涙を浮かべながら歩く生徒たちもそれを見守る観客たちの中にも、その歩く姿の奥あるいは「背景」に、高校生活が始まってから今日までの「歩み」を思い浮かべている人も多かったのではないでしょうか。最初何列かで並んで歩んでいた列がそこから離れて一列になったり、新たな列と合流したり、列と列が対面したり、交差したり、すれ違ったり。まるで、様々な人との出会いと別れを繰り返す人生のさまを表わしているようなのです。
◇プロムナードの歴史◇
本校の体育祭においてプロムナードが始まったのは、本校創立6年目の昭和43(1968)年のことです。それ以来、ずっと受け継がれてきました。当初は、一年生が組体操、二年生がダンス、三年生がプロムナードと学年毎に演技を行なっていましたが、諸事情で一、二年生の全体演技は割愛され、三年生のプロムナードだけは割愛されず、体育祭の最後を飾る演技として続いているという経緯があります。
管見によれば、プロムナードを最初に体育祭で行なったのは、明治21(1888)年創立の女子校である、東京女学館(中学校・高等学校)です。伊藤博文や渋沢栄一も創立に関わっている伝統ある学校です。学園のホームページの沿革の昭和23年の項に「運動会でプロムナードを開始。」と記載されています。これは今も受け継がれ、高校三年生が中学生も含め下級生が見守る中、体育祭を飾る恒例行事となっています。人文字を作ったりもするようです。おそらく昭和のある時期、これに倣ってそれぞれ独自の工夫を加えながら、体育祭にプロムナードを取り入れる動きがあったのでしょう。全国の幾つかの女子校では今も恒例として行われているようです。
校長 村手元樹