待降節に玄関を飾ったステンドグラス/朝日が白い壁に映し出したステンドグラス
◇「体験学習」がたくさん出来ました◇
2023年も残りあとわずかになりました。皆さんにとってどんな年だったでしょうか。学校にとって一番のトピックはコロナ禍もある程度終息し、さまざまな行事や体験がほぼ制約なく行えたことだと思います。特に創立60周年を迎えた今年に、本校の大切な学びの一つとして長年培ってきた「体験学習」が、昨年までの縮小バージョンでなく、ほぼフルバージョンで実施できたことは、本当に喜ばしいことです。というのは体験を通して人は成長するからです。また保護者の方にも行事にご参加いただき、共有できたこともありがたく思います。
◇「4年ぶり」がキーワードだった2023年◇
「4年ぶり」という言葉が本校のキーワードになりました。創立記念日の全校生徒による「ラ・カリタ」の合唱、球技大会のダンス・パフォーマンス、学園祭の一般公開、体育祭の綱引きやプロムナード、クリスマス会に全校生徒で歌う「ハレルヤ・コーラス」などなど、多くの活動が4年ぶりに復活しました。「復活した」というより生徒たちが見事に「復活させてくれた」と言った方が適当かもしれません。先輩たちの姿を見て学ぶこともできなかったにも関わらず、です。そのほか、ボランティア活動や海外研修などにも積極的に参加してくれました。
◇小さな奇跡◇
時が戻ったかのように4年ぶりに復活する行事を目の当たりにすると、思わず「小さな奇跡」に遭遇したような気持ちになります。今回のクリスマス会もそうでした。昔、天海祐希さんが小学校の先生を演じたテレビドラマを思い出します。ひたすら子供の成長を願い信念を持って教育に当たる、でも熱心さのあまり、世間に誤解されて学校を追われることになるんですね。同僚の先生が今後のことを訊くと、「私はどんなことがあっても教師をやめるつもりはありません」と答えます。また同僚の先生が「あなたは、どうしてそんなに頑張れるんですか」と訊くとこう答えます。「それは教育は奇跡が起こせるからです。子供たちは成長する中で私たちの想像以上に素晴らしい奇跡を起こします。あなたはそうは思わないのですか。」という場面がありました。
私はクリスマス会の練習をずっと見ていたんですが、生徒たちが前向きに取り組んでくれて、先生方が「ここ、もう少しこうした方がいいよね」と言うと、みんながそれにすぐ対応して、修正して見る見る向上していくんですね。学校で「奇跡が起こる」ということはこういうことかなと思った次第です。
お話を「聞く」ことも本校が大切にしていることですが、オンラインでなく、直接いろいろな方のお話をたくさん聞けたのは、よい体験となったと思います。特に今年は 60 周年ということもあり、上野千鶴子さんや西神父様のお話なども聞くことができました。
クリスマス会の練習風景
◇「リフレクション」の大切さ◇
もう一つ大切なことは体験を振り返って今後に生かすということです。そういう意味の「リフレクション」という言葉も最近よく聞かれます。本校では何か体験するごとに、かなりの高い割合で感想文を書かされるということを、生徒の皆さんはもう、うすうす気づいていると思います。面倒だなと思うかもしれませんが、その体験によって自分が何を考え感じたかを言語化し、自分と対話することは、とても大切なことなんです。
◇自分の外の世界へ◇
体験することは要するに自分の外の世界に出ることです。外に出るからには困難なこともあります。楽しいことばかりではありません。面倒くさいことや思い通りにいかないこと、失敗もあります。ニーチェという人は「苦しみと幸せは双子」だと言っています。面倒なことや苦しみを避けて通れば、真の喜びや成長は得られないということです。
今年一年、いいことも悪いことも、いろいろとあったと思います。これからもそうでしょう。でもたぶんそれは全部自分の成長や喜びへとつながっていくはずです。転んでも人は起き上がることができます。辛いときは、空を見上げるといいと思います。暗いからこそ星は見えます。そんな風に来る年も共に頑張っていきましょう。よいお年をお迎えください。
校長 村手元樹
*2023.12.22 クリスマス会の挨拶で保護者の方や生徒の皆さんにお話しした内容をもとにしています。
近隣の小学生のために生徒が一枚一枚手作りしたクリスマス・カード(奉仕活動)