Bon Voyage! -令和5年度第59回卒業証書授与式-
2024.03.07

 

 

 

 

 

 

令和6年3月1日、昨年と同様、夜から早朝にかけて降った雨も朝には上がり、温かい春の日差しも感じられる好日となりました。昨年度、在校生の参加は2年生だけでしたが、今年度は1年生も参加し、「ああ感謝せん」の全校合唱で卒業生を送り出すことができたのは、本当に喜ばしいことでした。来賓の方にもご臨席いただけました。このようなフルバージョンの本来の形でできたのは2019年3月以来、5年ぶりです。ある意味、令和はじめてです。しかも今年はカトリック名古屋教区の松浦悟郎司教様にもご臨席賜り、ご祝辞の中で「母校には『母港』の意味もある。進むべき道に迷ったときなど、人生の指針としてこの学校での学びに帰ってきてほしい」という主旨の含蓄のある、お話も頂戴しました。

以下は私が卒業式で述べた式辞です。

 

式辞

まず日に日に春の訪れが感じられる今日のこのよき日に卒業式を行うことができますことに、心から感謝いたします。ご来賓の方々におかれましては、公私ともにお忙しい中ご臨席を賜り、まことにありがとうございます。ご家族の皆様、お嬢様のご卒業をお祝い申しあげますとともに、ご入学以来、本校の教育方針に深いご理解とあたたかいご協力をいただき、本当にありがとうございました。そして卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

 

まず皆さんに今日伝えたいことは「3年間ありがとう」という言葉です。思い起こせば、皆さんとともに過ごした、この3年間は新型コロナウイルス等の社会の激しい変化に対応しながら学校生活をどう維持し、築いていくかという、難しい状況にありました。その試練を何とか切り抜けて今があるのは皆さんの力に負うところが大きいと思います。

皆さんが入学した1年目、2021年はコロナ禍の真っ只中でした。二度の緊急事態宣言が発出され、行動制限が常態化し、様々な行事の中止縮小を余儀なくされました。2年目はウィズコロナの年。皆さんの協力で3年ぶりに修学旅行を無事実施でき、ほっとしたのを覚えています。その他、できる範囲で高校時代にいろいろな体験をしてもらいたいと工夫し企画した活動に皆さんは積極的に取り組んでくれました。アフターコロナの三年目。4年ぶりに制限なく行事ができる状況になりました。特にカピタニオが大切にしている全校合唱、皆さんが率先して取組み、上級生として下級生を引っ張ってくれなければ、あれだけ見事に復活させることはできなかったでしょう。私は皆さんの歌声が大好きでした。その他の行事や日常の生活においても明るく前向きに高校生活を楽しみ、学校を盛り上げてくれたことに感謝しています。

 

もう一つ今日伝えたいことは「これからの人生においても、このカトリックの学校で学んだことを大切にしてください」という願いです。どうかミッションスクールの卒業生、カトリック学校の卒業生であり続けてください。なぜならそれは皆さんの人生にとって貴重な財産となり得るからです。先ほど、卒業証書をお渡ししました。この証書には二つの意味があると私は考えます。一つは、高等学校の単位を修得し学を修め、資格を得たという意味です。もう一つは、毎日お祈りをし、聖歌を歌い、宗教の授業を受け、さまざまな人の話を聞き、いろいろな体験をし、キリスト教の考え方を補助線にして自分の生き方や社会との関わりについて考え、カトリックの学校で3年間を過ごしましたねという意味です。こちらは資格ではありません。この学びはこれで終了ではなく、今日からが始まりです。私たちは皆さんの心に種を蒔いたに過ぎません。その学びを深め、実践していくのは皆さん自身です。

たとえば高校時代に「愛」という言葉を何度聞いたことでしょう。ミッションスクールならではだと思います。愛するとはどういうことかについて少なからず考えたと思います。キリスト教は「愛の宗教」と言われるように、愛をその思想の中心に据えます。生物学者のシャルダンはこう言っています。「人生にはただ一つの義務しかない。それは愛することを学ぶこと。人生にはただ一つの幸せしかない。それは愛することを知ること。」愛することの大切さは、キリスト教だけに通じることではありません。人間にとって普遍的に一番大切であることに間違いないと私は思います。隣人を愛し、愛され、他者の助けとなり、他者の助けを借りながら共に幸せな人生を歩むことを心から祈っています。

 

さて最後のお願いです。これから皆さんは新しい生活に向けて、部屋の片付けをすると思います。でも最低でも次の四つのものは捨てないで、ずっと持ち続けてください。一つ目は「聖書」。何かの折に、ふと開いてみたくなることもあるでしょう。そうかなあ?と思っている人、人の心は思いの外、変化するものです。大切なことに後から気づくのも世の常です。二つ目は「聖歌集」。年を重ねると聖歌が妙に懐かしく思い出されるという卒業生の話もよく聞きます。思い出は、しばしば歌とともにあります。三つ目は「宗教のノート」。高校時代の写真はたくさんあると思いますが、高校時代に何を思い、考えていたのかを振り返ることができる、貴重な心のアルバムです。四つ目は今日卒業記念品としてもらう、Sr.渡辺和子の本。高校で学んだことのエッセンスが詰まっています。特に辛い時に読むと心に染みます。何度読んでも何歳になって読んでも新鮮な気づきが湧き出てくる「読み終わらない本」です。

 

最後に皆さんとの出会いに感謝するとともに、皆さん一人ひとりの前途に、神様の豊かなお恵みがあることを心から祈って、今日のはなむけの言葉といたします。

令和6年3月1日

聖カピタニオ女子高等学校

校長 村手元樹

 

 

 

 

 

 

 

 

2月22日、カトリック布池教会で卒業感謝ミサを行いました。