校庭の雪柳、満開です。
◇学びの体験談◇
3月12日にキャリア・ガイダンスを行いました。今年の卒業生3名が来校し、在校生に受験の体験を話してくれました。単に受験勉強の話というより、高校時代をどう過ごし、どう学んだかという、広い意味での「学びの体験談」でした。話を聞いていて、受験は小手先の勉強だけでは通用しないこと、逆に言えば受験に向けた学びは受験だけでなく、その後の人生に繋がる力にもなることを実感しました。生徒たちの多くも先輩の話に刺激を受けたようです。
以下、私が特に印象に残った点を挙げておきます。参考にしていただければ幸いです。
◇広い展望を持った計画性(ビジョン)とそれを実現するための方法(スタイル)◇
卒業生の学び方は三者三様でしたが、それぞれに確かな戦略性と実行力を感じました。例えば定期試験の取りかかりに関して、二人はおおよそ3週間前だったそうです。すべてをやり尽くしてから臨むためにはその程度の時間は必要なのでしょう。普段の勉強のモットーは「できるまでやる、できてもやる」だと一人が言っていました。もう一人の先輩は取りかかるのは1日前だったそうです。これにはちゃんとした思想があります。日々の授業の予習をしっかりして、分からなかった箇所を授業中に解決し、重要事項と間違えた箇所をリストアップしておく。授業中心主義だから、試験勉強は少なくて済むのです。「一夜漬け」でないため実力もつくので一石二鳥。こんな勉強スタイルもあります。ただこれは優劣でなく、自分に合った方法を見つけ、習慣化することが肝要です。
志望校を決めた時期も、「1年生の7月」「1年生の2月」「3年生の6月」とまちまちでしたが、早い方が計画を立てやすいのは確かです。でも無理やり決めてミスマッチを起こしたら元も子もないので、オープンキャンパスに参加するとか、大学や学問について調べるとか、アンテナを張って熟考することが先決です。ただ同時に普段の勉強をしっかりする、英検などに取り組むなどの準備は必要不可欠です。買うものが決まってなくても、貯金しないと、いざというとき困るのと同じです。もちろん「3年生の6月」と答えた卒業生は、それができていたのです。
◇生きる力と結びつく、学びと受験の体験◇
三人の卒業生とも、行事や部活動など高校生活を満喫していたことも印象深いことでした。サステナブルな勉強法だった証(あかし)です。部活動や行事などから学ぶことも多いのです。実際、小論文、面接、ディスカッションなどの入試科目においては、体験に基づく、幅広い学びが求められます。
ディスカッション試験を経験した卒業生が言っていたのは、「ただ自分の主張を述べるだけでなく、発言する人の話をよく聞き、それを一旦受け入れた上で自分の意見を述べるとか、言葉に詰まった人をフォローするなど、聴く力や助け合う心が大切」ということです。授業の時から先生の話を集中して聞くように心がけたそうです。ディスカッションで求められる力は、その後の人生でずっと必要な力を養うことになっているんだなと私は感じました。
三年生が受講する小論文講座の講師の先生もおっしゃっていました。「小論文の勉強は受験だけのためでない。大人になっても書くことはいろいろな場面で求められる。文章を書くことが苦になるか、ならないかで、その後の人生も変わってくるかもしれない。」と。まさに学び方は生き方にも繋がっているなと思った次第です。
校長 村手元樹