【朝礼の話㉗】ABC理論
2024.10.03

ルーチェ・ガーデンに咲く百日草

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇エリスのABC理論◇

先週「清い心」について、責任・奉仕を妨げる、心の中の混じり気や濁りのない状態を言うのではないかという話をしました。今日はその続きで、「清い心」を心理学的な観点から見てみたいと思います。

皆さんはアルバート・エリスという心理学者が唱えたABC理論を知っていますか。1年生の方は修養会でカウンセラーの坂本先生もお話しされていたのを覚えていると思います。

私たちは毎日いろいろな出来事に遭遇し、その出来事に対していろいろな感情を抱きます。その出来事をA(「Activaiting events」の頭文字)とします。その出来事の結果として生まれる感情がC(「Consequence」の頭文字)。私たちは、出来事Aそのものが感情Cを作り出していると思いがちですが、その間にBというものがあるんだと言うのがABC理論です。Bは「Belief」のBです。動詞「believe」の名詞形で信念とかと訳すことも多いですが、ここでは、「自分が思い込んでいること」「各人の物事の捉え方」、一番しっくり来る訳し方が「考え方(思考)のクセ」です。

 

◇考え方のクセ◇

いいクセもありますが、厄介なクセもあります。一つダメだと全部ダメだと思ってしまうクセとか、絶対こうでなければならないという思い込み、すぐに他人と比較してしまうとか、やたらと人目が気になるとか。

実際、同じ出来事に遭遇しても人によって抱く感情は違います。それはAとCの間にその出来事に対する解釈(考え方)の違いがあるからです。簡単な例を挙げると、定期テストでいつも以上に頑張ったけど成績が上がらなかった(むしろ下がった)という時、誰もが先ずがっかりすると思いますが、その後「あんなに頑張ったのにダメか」とすっかりやる気を無くす人もいれば、平気な人もいます。「まだ努力が足りなかったかもしれない、次頑張ろう」と思う人もいます。

 

◇感情より思考のほうが変えやすい◇

もう少し深刻なケースだと、怒りとか悲しみとかネガティブな感情に心苦しめられることもあります。そんな時、Cの感情は自分の意志で変えることがなかなか難しい。その前段階のBの考え方のほうが自分の意志で変えやすい。そこで考え方を変えることによって心の苦しみを軽減するというのがカウンセリングなどの方法論だと思います。自分でも心がけることもできます。今、考え方を変えると言いましたが、変えるというよりは、「他にこんな考え方もある」という具合に凝り固まったクセをほどいて、考え方や視点を増やすと言ったほうがいいかもしれません。

 

◇「清い心」は心の健康にも繋がる◇

結局何を言いたいかと言うと、先週話した「心の中の混じり気や濁り」というのと、心理学で言う「思考のクセ」というのは重なる部分が大きいということなんですね。「清い心」を目指すというともちろん道徳的な側面もありますが、心の健康とも密接に繋がっているのではないかと思います。どちらの側面も、「よりよく生きる」ためのものであることに違いありません。

校長 村手元樹

*2024.9.26 全校朝礼