今年も愛知県に緊急事態宣言が出された中、5月14日(金)第58回創立記念日を迎え、これまでの歩みを神様と人々に感謝することができました。
このコロナ禍の中で例年通りの式典、「ラ・カリタ」を全校で合唱することはできませんでしたし、「み言葉の祭儀」の歌も演奏に代わり、司祭と典礼だけで生徒たちは一切声を出さないという内容でした。
しかし、カリタスホームは一つになり、カピタニオの偉業に感謝を捧げた祈りの雰囲気が漂っていました。
理事長先生は、私たちに次のようにお話をしてくださいました。
「まず地に落ちた種を想像してみましょう。
種は地に落ちて、その落ちたところから逃げないで、落ちたところに留まります。
これはとても大事なことです。
人間は困難、苦しみに出会う時に、逃げたくなるでしょう。
嫌なこと、失敗を受け入れないで逃げるのは簡単ですけれども、それは前向きな姿勢ではないと思います。
バルトロメア・カピタニオの生涯を読むと、彼女も理想的な環境の中で生まれ育ったわけではありません。
酒乱の父親、我儘な妹がいたけれども、バルトロメアは自分のことを可哀想と思わないで、この状況に置かれた自分は何が出きるのか?
そして、周りの人の必要性を見ながら積極的に自分のすべきことを考えました。
よく考えてみると、誰も自分の家族、生まれ場所を選ぶことはできません。
ちょうど、種のたとえのように、種も自分の落ちるところを選べません。
誰かが土の中に種を蒔いてくれるから、そこで実を結ぶことができます。
私たちは時々、違う家庭、違う学校、違うクラスだったら、私はもっと頑張れる、努力できると考えてしまいます。
しかし、このみ言葉は私たちに大事なことを教えてくれています。
種の中に生命力があります。
冷たい土の中に落ちた時から闘いが始まります。
地に落ちて死ぬということは、自分の殻を破ることです。
そこから新しい芽が出ます。
土の暗闇の中でいろいろな養分が一緒に働いて、種は少しずつ違う形に変えられていきます。
私たちの中にも、このような力が十分あります。
今日、バルトロメア・カピタニオは福音の言葉を通して私たちに語り掛けています。
“日常生活の中に、この種のように死ぬ機会がたくさんあります。
例えば、失敗、苦しみ、嫌なこと、悩み、自分と気の合わない人など、その時逃げないで、種のように忍耐を持って、希望を持って信じなさい”
自分の中に生きる力があります。
そして、自分が置かれた場所で今ここで自分が自分になる場所であることを信じていけば、どんなに生きる喜びに満たされるでしょう。」
私たち一人ひとりは、みんな違います。
違うからこそ、自分が自分になる勤めが私たちに与えられています。
今日の記念日を通して、バルトロメア・カピタニオの生き方から、自分と向き合い、自分を育てていく方法を学びました。
私たちの中には「いのち」があります。
このいのちは、成長するエネルギーを持っています。
だから、殻を破って伸びていくのですね。
この学び舎で共に過ごす仲間たちと、一人ひとりの個性を認め合い、育て合える学校生活を送りたいものです。